ランディングネットメイキング~No.014ウレタン塗装

久しぶりのランディングネットメイキングのネタになります
ここまでのランディングネットメイキングには、フレーム材を1枚づつ貼るとか
曲げが難しい銘木も多いのですが、一番やっかいなのが塗装になります
例えば自分で使うためのランディングネットメイキングだったら、塗装はそれほど気を使う物もないかと思います
実際問題として、市販の釣り道具屋で売られてるランディングネットでも、防水と艶出しレベルの物も多いと思います
しかしながら、ランディングネットをジュエリーのような天然銘木の作品を売ると考えると
問題になって来るのが塗装です
ある程度の数をまとめて作って塗装するのであれば、それなりに塗装可能かと思いますけど
1本1本作るのには、とてつもない時間と手間が掛かります
このNo.014の塗装で、その工程を紹介する事にしましたが

塗装の手間と同様に当然の事ながら動画もコメントも長くなりました
画像の私の衣服でもわかると思いますので、半年以上の記事になっている事もご覧ください


まず私は1液ウレタンで塗装してます
硬化剤を使う2液ウレタンは高価で、一発勝負の塗装になります
リカバリーが難しいために、私の1液ウレタンの塗装を紹介します

まずは木彫りオイルでの下処理になります
私の1液ウレタン塗装ではテレピン油を希釈して緩くしますので、正直な話は木彫りオイルでの下処理は要らないと思います
ただ、木彫りオイルは常温で保存しても硬化し難いので保存も効きます
量もあまり使わないので、使用してます
これはウレタン塗装が難しいので、このオイル処理だけでも防水という役割はある程度しますので、オイルフィニッシュという仕上げの参考にもなるかと思います

オイルフィニッシュとは、ウッドのログハウスなどの防水防虫の油性ステインに近い物かと思います
ウレタン塗装はこれに対して、車の塗装のようにさらに厚い塗膜で防水を高めるだけではなく、美観までも高める物だと言えば理解出来るでしょうか?
私は元々がジュエリーを製作する職人ですので、ランディングネットにもアートを追求してしまいます
また、ランディングネットをアートの作品とするためにはオイルフィニッシュでは済まされないとも言えます

余談が長くなりましたが、オイルでの下処理の後の1液ウレタン塗装の話に戻します
希釈はテレピン油になりますが、以前はケーヨーでも売っていた物ですが
現在ではDCMの関係でケーヨーでも売ってません
ウレタン塗料はニスという名でどこでも売ってる物かと思います

塗装に入りますが、まずは希釈したウレタン塗料を筆で塗ります
これを乾いたら塗りを何度も何度も重ねて塗装します
充分に重ねたら、塗膜の硬化後に100番くらいのサンドペーパーで平に研磨します
塗膜が厚いほど、硬化させる時間は長くなります

塗料は堆積させたいところよりも、堆積させたくない部分に流れますので
フレームの溝や穴に堆積したり、穴を埋めてしまいます
溝を溝切りノミで塗料を削ったり、穴をドリルで開け直したり、面取りし直したり
サンドペーパーを細かくしては塗装し研磨して、穴開け溝切の工程は仕上げまで2~3回は繰り返します

300番くらいから塗装した余分な塗料は拭き取ります
一度に厚塗りをして、一気に仕上げたくなる物ですが
結果的には下地を出してしまい、その補修に返って時間を費やします
ここまでやっても、この塗装には下地を出してしまいまして
その補修に多大な時間を費やしました

ウレタンは重ねて重ねてを繰り返して一度で研ぐのではなく
重ねて重ねての研ぎを、その紙やすりの番手ごとに繰り返して、徐々に塗膜を堆積させ
滑らかな塗膜を作って仕上げて行くという手段になります

1液ウレタン塗装の硬化には時間が掛かります
例えば液だれがあったとしますと、その液ダレは半熟タマゴのような物で
その核は中々固まりません
そのため、塗装を重ねるたびに乾燥させ、サンディングしてはなるべく均一な塗膜を作るための手段になります
300番くらいから塗装した余分な塗料は拭き取ります
400番まで来ますと仕上げに近くなって来ますが、サンディングすると白くなります
塗装しては研ぎを800番で続ければ、ほぼ塗膜は仕上げになります
ここまで研磨しないと見つからない欠陥も多々あります
1000番まで来れば、後はコンパウンドで磨き込みになります

コンパウンドは粒子の細かさに種類ありますが、そう大差はないです
研磨剤は研磨で粒子同士が細かくなるので、粗さはあまり気にしないでいいと思います
ダイヤモンドペーストは最高の研磨剤です(笑)
最後に車用のワックスで完成です
コンパウンド入ってないタイプですが、入っていてもいいかと思います
ワックスは研磨というより塗り込む感じではありますが、実際問題としては研磨してると思います
ちなみに穴に詰まった研磨した塗料や研磨剤は歯間ブラシで落とせます

こんなメンドクサイ事は出来ないよ~と思う人も居るかと思います
でも、こんなメンドクサイ事をしないと、もっとメンドクサイ事になるんです

ウレタン塗装も木彫りオイルでの下処理の後に、液ダレしない範囲で拭き取ってしまうという手もあります
工程としては木彫りオイルでの下処理の後に、今回の300番くらいからの希釈したウレタン塗装です
オイルフィニッシュに近い仕上がりにはなるかと思いますが
堆積させるから研がないとならなくなるとも言えます

木目がウレタンで埋まる前に終える感じです
ジュエリーも同じですが、磨くから欠陥が目立つようになります

釣り道具の塗装にここまでこだわる必要性がないという事も言えます
もはやお店のジュエリーのように店員は素手では触りたくない、指紋や手の脂分すら手袋したくなります

正直な話は、この塗装だけでも時給換算すれば数万円では済まなくなります
これにつなぎ目のない手編みのネットを編んでますと
片手間で作れば、年に1本2本程度しか作れない物だとも言えます



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